黙示録連続講解説教を終えて

論壇:     黙示録連続講解説教を終えて     8/28/2022

今年3月6日からヨハネの黙示録の連続講解説教をしてきました。本日を入れて計19回でした。黙示録を朝礼拝で連続講解するのは私にとって初めてでした(夕拝か祈祷会のどちらかでは行いましたが)。改めて振り返りますと様々な思い出がよみがえります。

推理小説の最終章を読み、犯人を知った上で全体を読むなどという人はいません。読書のハラハラドキドキ感がなくなってしまいます。

旧約聖書のイザヤ書は、39章までは偶像礼拝を続ける北王国が、神の鞭として用いられるアッシリア帝国によって滅ぼされる(BC722)という警告ですが、40章からはペルシャによってバビロンが滅ぼされ、捕囚から帰国できるという喜び(BC537)までの約200年間の長期にわたる預言です。神はこの間の歴史全体を見せることによって、イスラエルに悔い改めと希望を与えました。

イエスの終末預言(マタイ24章)はAD70年のエルサレム陥落と神殿崩壊を視野に据えた上での警告説教ですが、黙示録的な天変地変を含んだ最後の審判とイエスの再臨をも語ります。これはまだ十字架が起こる前ですから、聞いている弟子たちにとっては理解困難なものだったでしょうが、AD70年後にこの福音書を読む教会にとっては慰め深いものだったでしょう。

ヨハネの黙示録は、ローマ帝国の迫害の只中にいるクリスチャンたちを励ますために書かれました。今にも殺されようとしている人はどのような話を聞くことによって励まされるのでしょうか。私は35年間の牧師生活の中で臨終の枕元に呼ばれて立ち会うことを何回か経験しました。結局その方を励ます言葉は「イエス様のところに行けるのですよ」とか「イエス様があなたを迎えに来ておられます」でした。

神様は臨終の中にいる集団を励ますためにヨハネを指名し、霊の世界に引き上げ、これから起こること、それも最後の審判に至るまでのことを詳しくかつ絵画的に見せ、それをヨハネを通してクリスチャンたちに伝えたのです。それはサタンの天上の戦い、地上の戦いのすべてを含んだもので、最後は神の国が完成し「彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる」という大団円、大ハッピーエンドです。人間は目に見える現世の(此岸)世界しか知りません。霊の世界(彼岸)をありありと見せてもらうこと、そこでサタンが滅ぼされ、死がなくなること、これほどすばらしい慰めはありません。

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