論壇: ネヘミヤ記の概要 8/8/2021
ネヘミヤ(ヤハウエは慰めたもう)は、ペルシャ王アルタクセルクセス(治世BC465―424)の献酌官(相談役)でした。城壁の無かったエルサレムの荒廃を聞き、断食して祈り(1章)、王に帰還を願い出て許され、ユダ総督の地位を与えられて帰還しました(2章、444年頃)。
エルサレムに着いたネヘミヤは夜中秘かに城壁を調査し(2:9―16)、
建築工事を呼びかけますが、サマリア州知事ホロニ人サンバラト、アンモン人トビヤ、アラブ人地区行政官ゲシェムらに反対されます。特にサンバラトは自分の管轄下にあったユダ州がネヘミヤによって独立した形になりましたので、最後までネヘミヤと対立します(13:28)。またユダヤの貴族たちも協力しません(2:19―3:5)。ユダヤ人たちの城壁工事担当部所は分割され、その責任者は丁寧に記録されます(3章)。
ユダヤ人たちは武器を持ったまま苦しい作業をし(4:12)、工事は進みます。ネヘミヤは経済改革、農地解放など自ら模範を示して(5:10)実行します(5章)。こうして敵の妨害にもかかわらず城壁工事は完成し(6:15)、門には扉をつけ番兵を就けました(7:1―3)。
エルサレムにはまだ住民は少なく、ネヘミヤは捕囚帰還民たちの基礎名簿(7章=エズラ記2章))を基にして、10人に一人がエルサレムに、残り9人が近隣の町に住むよう命令し(11:1)、エルサレムの住民リスト(11:3―19)とユダの住民リスト(11:20―36)が登記されました。
この間に、祭司エズラによって再開された律法朗読の礼拝と仮庵祭(8章)、人々の断食と信仰告白(9章)、祭司と神殿関係者の誓約(10章)が挿入されます。祭司とレビ人の名簿が整えられ、城壁の奉献式が執行されます(12章)。
ネヘミヤはエルサレムでの12年間の働きの後ペルシャに帰りますが(13:6)、留守中に再び悪事がはびこります。神殿の一室を有力者が勝手に私用したり(13:4―9)、レビ人に給料が支給されなかったり(13:10―13)、安息日の労働禁止が守られていなかったのです(13:15―22)。再びエルサレムに来たネヘミヤはこの悪に力をもって改革し、異邦人と結婚したユダヤ人を責めるなどの改革をします(13:23―28)。
ネヘミヤの改革の最後はサンバラトとの対決で終わります。この名前はシンの神に由来しますので、ネヘミヤ記全体はヤハウエの神とシンの神との対決という構図にもなっています。