偶像礼拝

論壇:           偶像礼拝        8/9/2020

南北に分裂した北王国の初代王ヤロブアムは、南のエルサレム神殿に対抗して、金の子牛像を御神体とした神殿を作りました。エルサレム神殿には十戒を刻んだ石の板を納めた「神の箱」があり、それが神ヤハウェの臨在の象徴でした。ではヤロブアムはなぜ金の子牛像を作ったのでしょうか。

それは当時のパレスティナで共通に祀られていた農業神バアル礼拝によるものです。バアルは男性の像で作られますが、「牛の背中にまたがった男神」の像でも表されました。ヤロブアムは見えない神ヤハウェの宗教の土着化を図ったのです。バアル像そのものを作ることは抵抗がありますが、牛の像を用いることによって、牛の背中にまたがっているだろう神を連想させたのです。これは出エジプトの時のアロンが犯した過ちと同じです。見えない神を、抵抗なく見えるようにする技法でした。

偶像礼拝には様々な種類(礼拝方法)があります。

第1は見えない神を見える形に表すことで、これは十戒の第二戒で禁止されました。人間の姿による仏像、道祖神、地蔵。ギリシャ神話やヒンズー教などの様々な神像。エジプトの動物像など、被造物の形で神を表す礼拝です。十字架像は単なるシンボルですが、これに向かって頭を下げるならそれは十字架礼拝です。また中世の教会で流行ったことですが、聖餐式の盃、燭台、祭壇を金で飾ってこれを拝むこと、ギリシャ正教のイコン礼拝、聖遺物礼拝なども偶像礼拝です。

第2は自然の中にある神の被造物を拝むことです。太陽、月、星、山、動物などです。日本の「霊峰富士」信仰は山岳宗教の代表的なものです。巨石や巨木など自然界の「異常なもの」に、しめ縄を張って拝むこと、また墓石に向かって頭を下げることなども偶像礼拝です。

第3は死人を神または仏として拝むことです。仏教はもともと死人を拝むことをしませんでしたが、日本の死者礼拝と結びつきました。日本では神棚、仏壇を用いて死者礼拝をさせます。天皇を現人神(あらひとがみ)と称し、その写真を「御真影」として強制的に拝ませることがあったことを忘れてはなりません。神社参拝は建物に向かっての強制礼拝でした。

第4は占い、卜占、口寄せ、霊媒など(申命記18:10)の未来予見に関するものです。また交通安全、家内安全、火災予防を願う「お札」「お守り」「縁起物」などにも注意を払わねばなりません。神社の絵馬、願掛けなども偶像礼拝です。

第5は「薄められた宗教」、日本特有の「習俗」です。七夕、盆踊り、

神輿行列、門松などに関しては私の『改革派教会が目指す教会教育の喜び』で詳述しておきましたので再読してください。

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