論壇: 出エジプト記編集の強調点 7/21/2019
本日の説教テキストで、第2戒(偶像製作禁止)をすでに聞いている(20章)イスラエルがなぜ金の子牛を作ったのか、という疑問があります。
出エジプト記は物事の時系列で記述していません。また物語部分、規則集(戒め)、礼拝規定などが混載し、全体の論理構成が分かりにくくなっていますが、下記のように梗概を整理しますと、論理構造が見えてきます。
1~4章:モーセの誕生から召命
5~11章:ファラオとの交渉、十の災い
12~13:16:過越祭制定と初子の死、初子の奉献
13:17-14章:エジプト出立
15:1~21 :海の歌
15:22~18章:シナイ山に至るまでのエピソード(マナ、岩からの水、
アマレク戦、エトロの訪問)
19章 :シナイ山到着
20:1~21:十戒授与(安息日厳守①)
20:22~23章:律法の施行細則と違犯に対する警告(安息日厳守②)
24章 :契約締結式
25~31章:幕屋建設と礼拝指針(安息日厳守③)
32、33章:金の子牛事件と主の臨在
34章~35:3: 戒めの再授与(祭儀律法の十戒、安息日厳守④)
35:4~40:33:幕屋建設と什器備品の製作
40:34-38:結語
出エジプト記はストーリー部分と律法・礼拝規定の部分がサンドイッチのように層をなし、その中で「安息日厳守」と「礼拝のやり方」いう大きなテーマが強調され繰り返されているのが分かります。偶像礼拝蔓延のエジプトでの生活から決別するために、事細かな礼拝規定とそれを実行する安息日の聖別によって、奴隷であったイスラエルが神の民となる訓練を受けます。「見えない神を拝む宗教」という、古代世界では全く想像できなかった信仰生活へ導くために、神様も全力をあげて民を教育されるのです。
しかしイスラエルは最初の時から失敗を繰り返します。多くの者が神に反逆して殺され、ついにイスラエルは荒野で40年の放浪生活を強いられ、指導者モーセも約束の地カナンに入れません。神様の基準は実に厳しいものです。これは私たちが神の民としてこの世の中で生きることがいかに難しいものであるかを示します。だから完全に神様の戒めを守って、生涯を生きたイエス・キリストが、私の罪を償う身代わりとして命を捧げられたことが救いとなるのです。